zuku2021’s blog

~ 資産運用に関する疑問考察の記録 ~

iDeCo最強説は本当だった。iDeCoとNISAの受給額をシミュレーションで比較。

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資産形成のためには、節税効果が大きいiDeCoがオトク!という記事をたくさん見かませんか?節税という点では、NISAも少額投資非課税制度というくらいで非課税であるとされています。

さて、本当のところ どちらの制度が より多くの 資産を築くことができるのでしょうか?

税引き後受給額に着目して、少しだけ細かく、読み解いてみました。

やはり iDeCo の節税効果は最強でした。

iDeCoとNISAの受給額差

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節税効果が大きい iDeCo と つみたてNISA それぞれの制度を利用した場合に 受給額がどのくらいになるか、受給額の差 がどのくらいの額になるのか計算してみました。計算には、給与所得, 退職所得などに代表的な平均値をつかった推定値を使用しています。計算結果の数値は特定条件での数値となります。設定する状況によって大きく変化することをお含みおきください。

勤続(加入)期間 35年時点 での 受給額の対比 (運用年利 3.6%)

iDeCoでの加入者区分

iDeCo

利用

つみたて

NISA利用

差額

第3号 専業主婦

1,889万円

1,834万円

58万円

第1号 自営業

4,951万円

4,273万円

690万円

第2号 会社員 企業年金制度なし

1,669万円

1,467万円

210万円

第2号 会社員 DCのみ

1,437万円

1,277万円

167万円

第2号 会社員 DBあり

837万円

768万円

72万円

第2号 公務員

859万円

735万円

127万円

※ 月々の掛金額は iDeCoの加入資格毎の掛金上限額(専業主婦(夫)の場合2.3万円など)としています。
※ つみたてNISAを利用する場合の掛金は、iDeCo拠出時のメリットとの対比のため所得を得る際に掛けられた税額分を差し引いています。
※ つみたてNISA制度は2042年まで加入可能としています。
※ つみたてNISA制度による制限を超える部分は特定口座での運用としています。
iDeCoの受け取り方法は一時金としています。
※ 算出された受給額, 差額 は 諸条件により 変化します。受給額, 差額を保証するものではありません。
※ 税率は 令和2年度税率表 を 使用しています。
※ 給与・事業所得, 退職金は現在のそれぞれの平均値から算出しています。
※ 平均値は以下のサイトの情報を利用し作成しました。

e-Stat 政府統計の総合窓口 (e-Stat)
就労条件総合調査 / 平成30年_就労条件総合調査 平成30年就労条件総合調査報告
国家公務員退職手当実態調査 / 国家公務員退職手当実態調査(平成30年度) / 退職手当の支給状況

厚生労働省
平成30年就労条件総合調査 結果の概況

東京都産業労働局
中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)

総務省
平成30年 地方公務員給与実態調査結果の状況

国税庁
国税庁 統計情報

シミュレーションの結果を見る限りでは、iDeCo での運用は 60歳まで運用資産を引き出しできないという制限があるものの運用の効果(よりたくさんの資金を受給できる)という点ではつみたてNISAよりもメリットが出ることがわかりました。

結構な差額が出ています。

iDeCoの受給の方法を年金として受け取るとした場合は差額がもっと大きくなるかもしれません。受け取り方法によって、受給時に収める税金をさらに少なくできる(受給額が増える)可能性もあります。収める税金をより少なくできるよう工夫が必要です。

専業主婦(夫)の場合は、つみたてNISA制度の有効な期間の間は、iDeCoでは手数料が掛金から自動的に引き落とされますので、つみたてNISAの方が優位です。

結局、

  • 専業主婦(婦)(第3号)は、運用期間が20年以上ならばiDeCo。20年未満ならばつみたてNISAがよい。
  • 自営業(第1号)は、iDeCo一択。
  • 第2号は、iDeCoがよい。

となりました。

現実の世界では、10年, 20年先 は 現在の状況から 大きく変わっていることでしょう。収入の変化や、iDeCo, NISA 各制度 の変更, 税制の変更 も起こるかもしれません。これらを予測することはできませんので、変化が起きた時、都度対処するしかありません。

なぜ iDeCo が 勝っているのか

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iDeCo の お得な点は、

  1. 拠出金が非課税となること
  2. 運用益が非課税であること(特別法人税が掛かることになっていますが、現在凍結されています)
  3. 給付(引き出し)時 に 退職所得として課税すること

の 3点 です。

要するに資産形成に係る税金が優遇されているということです。

NISAと比べてみると 以下のようになります。

iDeCo, NISA の 課税比較

資産運用の場面別

iDeCo

NISA

1. 拠出時

非課税(還付される)

所得税, 住民税 課税

2. 運用中

非課税(課税制度凍結中)

非課税(商品による)

3. 引出時

退職所得税, 住民税 課税

非課税

NISAと比べて iDeCo が 勝るためには、拠出時 の 税率 > 引出時の税率 となればよいと言えます。計算してみます。

拠出時の税率 は 年ごとの収入額(事業所得,給与所得など)から計算します。最低でも15.105% の税率となります。収入が平均より多い方はさらに高い税率となります。

以下の図のように計算します。

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引出時の税率 は、給付を受ける際の退職金などの収入と合算されて計算されます。
以下の図のように計算します。

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退職所得に対して掛けられる税額の内、iDeCoで資産形成した分が増えたことによって増える税額を資産形成した額で割って税率としています。

勤続(加入)期間 35年時点 での iDeCo運用資産に係る税率 (運用年利 3.6%)

iDeCo加入資格

退職金

(税引き前)

iDeCo資産

(税引き前)

iDeCo

税率

専業主婦(夫)(第3号)

0万円

1,893万円

0.11%

自営業(第1号)

0万円

5,625万円

12%

会社員 企業年金制度無し(第2号)

1,678万円

1,893万円

12%

会社員 企業年金制度DC制度のみ(第2号)

1,828万円

1,644万円

12%

会社員 企業年金制度DB制度あり(第2号)

2,357万円

980万円

14%

公務員(第2号)

2,059万円

980万円

12%

退職所得として iDeCoの給付を受ける場合 に iDeCoで資産形成した資産に掛けられる税率は 12~14% 程度 となります。

資産運用の場面

税率

1. 拠出時の拠出金にかかる税率

15.105% 以上

3. 引出時のiDeCo運用資産にかかる税率

12~14%

拠出時 の 税率 > 引出時の税率 となりますので、iDeCo が 優位 となります。

退職所得にかかる税金は優遇されているのですね。

iDeCo加入が延びないのはなぜ

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これだけメリットの出るiDeCoですが、加入者数はNISAに比べて まだまだ少ないです。

iDeCo, NISA 各制度の加入者数

制度

加入者数

備考

iDeCo

182万2,300人 

令和3年2月(iDeCo公式)

NISA(一般・つみたて)

1,523万9,727口座

令和2年12月末(速報値)(金融庁)

iDeCo の デメリット は

  • 60歳までは引き出すことができない
  • 投資の上限額が決まっている
  • 誰でも加入できるとは限らない
  • 自分で金融機関を選ぶなどの手続きが煩雑

など が挙げられています。

確かに、60歳まで引き出すことができないことはデメリットかもしれません。しかし、老後の備えが必要なことも避けられないことです。公的年金が頼りない以上、自ら備えをするしかありません。iDeCo制度を使えば、節税という大きなメリットを得ながら資産運用できますので、お得といえるでしょう。

iDeCoでは投資上限額が定められていますが、この額が少ないと感じられる方もいらっしゃるでしょう。掛金をより多く掛けられる方は、iDeCoを使った上で、さらにNISA, 特定口座 といった順に投資をして 節税効果を少しでも多く得られるようにしていけば良いと思います。

現在のiDeCoへの加入には加入資格があります(加入できない方がいらっしゃいます)。この点に関しては、より加入しやすくなるよう、法改正が検討されています。iDeCo公式サイトなどに詳細に記載されています。今後もよりよい制度になるよう期待したいところです。

iDeCoに関する手続きが煩雑である点は少しづつ改善されているようですが、まだ不十分と思えます。加入に関しては、Webで完結できるようになりつつあります。加入手続き, 拠出額の変更, 住所変更などのオンライン化を進めていくとされています。

すべての手続きがオンラインでできるようになるとよいですね。

まとめ

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「老後資金 2000万円」こんなタイトルでたくさんの記事が書かれました。さまざまな視点でさまざまな意見が述べられました。

今できることを考えると、将来に向けてより早い時期から長期積立分散投資による資産形成を行う。に他ならないと思います。

長期積立分散投資を実践するために、iDeCo, NISA といった 税制優遇制度が用意されています。

今回は iDeCo と つみたてNISA の 運用結果の比較をしてどちらの制度がより多くの資産を得ることができるかを考えましたが、特定口座での運用に比べれば、いずれの制度も長期積立分散投資の効果に さらに 節税効果を得られることで より多くの資産形成が期待できます。

現状では、これらの制度を利用するのに少々手間が掛かりますが、せっかく用意された税制優遇の制度を活用しない手はありません。

これら制度を簡単に使えるようなサービスがあるといいですね。
免責事項

  • 結果はあくまでシミュレーションにより得られたものであり、実際の金額を保証するものではありません。
  • 本シミュレーションは税制・関係法令に基づき作成しております。今後、法改正等の可能性がありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
  • 個別の税務取扱等につきましては、税務署・税理士等にご確認ください。
  • 本シミュレーションは、確定拠出年金(個人型), つみたてNISAに関する情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。